《うつ病体験記克服への道》~異常な成功願望~
高まる成功願望
高校2年になったくらいだろうか、元気だった時の私に比べて、どんどんやれることが減っていき、心も気持ちもどんどん削られていった。
かろうじて生きているそんな状態だった。
それにつれて早く立ち直らないといけない。
うつがひどくなればなるほど現状を脱して何かすごいことして大逆転するしかないという思いが膨らんできた。
日に日に成功願望が強くなっていき、どうやって元どおり以上になったらいいのかと大きなことを考えるようになった。
身の回りのこともまともにできなくなっているのに、頭だけはそんな思いが強くなるばかりで、現実を見るとそれどころじゃない無気力状態の自分とのギャップに余計エネルギーを消費し疲れ切ってしまっていた。
それでもいつか逆転するんだと強く思っていた。
逆転して何か大きな成功をしたら自信になってうつ病が治るんだと思った。
また病気になって周りからの評価が下がってきていると感じていた私はそれを何とかして回復しなければと思っていた。
これらを高校生当時の私は本気で真剣に思っていたし、そう信じてやまなかった。
世の中にはいろいろな考え方や価値観があるのに、何にそこまでとらわれていたのか。何が私にとって大切なことだったのだろうか。
成功して大逆転するんだ!という考えの根本に私がうつ病になった原因が潜んでいたんだと今は思う。
人生は他の誰のものでもない、自分のものなのだ。親のものでもない。体も心も全部わたしのものなのだ。
何を思うのか何をしたいのか何が大切なのかどんな価値観を持つか、これらも全て自分が決めていいものなのだ。
うつ病になった頃のわたしはそれができていただろうか。
自分の意見や、自分の気持ちだと思い込んでいたものは本当は誰の気持ちだったのか、それに気付き始めた頃にうつ病が回復方向へと向かい出したように感じる。
これに気付くのはまだまだ先のこととなる。まだうつ病になりたての高校生の頃の私は、苦しい考えを信じ続け、自分を責め続けていた。