『社会不安障害は治る病気!~ストレスフリーな対人関係を目指そう~』
社会不安障害(SAD)を治療して、社会復帰する方法
「社会不安障害」とは、他人と話すことや、大勢の人の前で発表したりスピーチすることが苦手で、相手の人にどう思われているかと不安に襲われ、心配しすぎて日々の社会生活に支障が現れている人のことをいいます。
人前で、失敗したり恥ずかしい思いをしたくないと思うことは当然です。
しかそれを極度に怖がり、人と接することを避けるようになると苦手なことや出来ないことが増えてしまい、自信を失ってしまいどんどん社会と離れていってしまいます。
対人関係に何の悩みもなかったのに、成人になってからふとしたきっかけで社会不安障害になってしまう人もいるなど、比較的身近な病気なのです。
社会不安障害の原因
元々の内気な性格も多少は影響しますが、それよりも恥ずかしい思いをした経験からトラウマになってしまっている人が多いようです。
そうなると余計に苦手な場面を避けるようになり、やっていないことでも怖いと思い込んでしまい、外に出ていろいろなことにチャレンジする機会をどんどん失ってしまうのです。
現代の日本の社会は、社交的な付き合いや、密着した集団生活に重きをおいており、人間関係のつながりを無視できない学校や社会が当たり前な状況になっています。
社会生活を円滑に過ごすためには人間関係をなによりも気にかけていかなくてはならないのが現実です。
そのような背景からか、社会不安障害で悩む人が増えてしまっている現状であり、それを少しでも改善して社会に溶け込みたいと思う人が多くいるのだと思います。
社会不安障害の症状
・緊張して人と思うように話せず、頭が真っ白になる
・大勢の前でスピーチすると言葉に詰まってしまう
・大勢で集まると人の輪に入ることが苦手
・人前で字を書くことが苦手でいつも通り書けない
・人前に出ると、顔が赤くなってしまう
・人前に出ると異常に汗をかく
・外に出ると動悸がする
・小さなことがずっと気になって頭から離れない
このような症状がでます。
元々は対人恐怖症やあがり症などと言われていた強迫神経症と同じ類のものであり、時代とともに名称が変化し社会不安障害と呼ばれているものと捉えていいと思います。
近年は社交不安障害という名称に変わってきているようです。
強い不安や緊張状態になるだけでなく、お腹や頭が痛くなる、胃がムカムカしてしまう、集中力を欠いてしまうなどさまざまな体の不調を感じ、社会生活に支障が現れてしまうこともあります。
社会不安障害の治し方
社会不安障害に悩んでいる人の多くは、「誰もが緊張することはあるのだから、自分の精神力が弱いんだ」「自分の頑張りが足りないからもっと気持ちを高めて我慢してやるんだ」などと自分の気持ちに問題があると思っている人がいます。
このように考えて、人前に出て苦手な場面を練習することで慣れていき、克服できる人も少なからずいるとは思いますが、これは上手くいく可能性も低く、一時的に良くなったように見えても長い目で見ると症状が悪化したり、時期を間違えるとさらに人前に出ることが怖くなってしまう恐れもあるために大きなリスクがあることは頭に入れておくべきでしょう。
まずは、社会不安障害が病気であることを知り、正しい知識を深めることが大事です。
主な治療法として、薬物療法と精神療法(認知行動療法・森田療法)があります。
薬物療法
薬物療法は強い不安を和らげるなどの一時的な対処法としては有効です。薬物療法だけでなく、精神療法と併用すると特に大きな効果が期待できると考えられています。
認知行動療法
認知行動療法は、ストレスや不安を強めてしまう物事の考え方や捉え方を自覚し、少しずつ修正する療法です。
友人と話しているときに、その友人が疲れている表情をしていたら「私といることが退屈なのかな?」と考えてしまうとストレスに感じてしまうのは当然ですね。でも実はその友人は前の晩に遅くまで好きなドラマを見ていて寝不足だっただけかもしれません。
このように認知(考え方)の癖を知り、自分の物事の考え方が必ずしも正しいとは限らないということを知ることが第一関門になります。
そして考え方を修正したら実際に行動に移すことが行動療法になるのです。
この場合、私といることが退屈なんだろうと考えたら、また次に会う約束をすることが怖くなってしまいますね。ですが、その考えは違うかもしれないと分かったら実際に勇気を出して次の誘いをするという行動を起こすことが重要です。
これが積み重なると、それまで避けてきたコミュニケーションをとることができるようになり自信もついてくるのです。
このように、考え方を変えるだけでなく実際に行動に移しながら改善していくことで大きな効果が期待できるのです。
森田療法
森田療法は、不安を取り除くことはしない、原因を突き詰めない、そのままであるがままの状態で行動に移していくという療法です。
不安や緊張を無くそうと考えるのではなく、感じるままに受け入れ、そのままの状態でやるべきことを目的のままにやるということです。
人は常にいろいろな感情が芽生え、1秒単位で心は変わり行くものです。気分が良くとも悪くとも、その度に心が高鳴ったり悲観したりするのではなく、感情は感情として置いておき、感情に関係なく振り回されずに本来の目的本位に行動をしていくということです。
例えば、前述したように友人と話してる時にその友人が疲れた表情をしていたら、「友人の疲れている顔を見たら、私といることが退屈なのかなと思ってしまうのも仕方ないよね」と感じる不安を認めるのです。でも不安だからいって頑張って友人を楽しませようとするのではなく、不安だけどいつもどおり接すればいいんだと、不安なままでもそのまま行動できるという感覚を得ることでコミュニケーションに自信をつけていくものです。
それぞれの療法に合う合わないがあるので、試してみて自分に合うものを取り入れていけるといいと思います。
生活習慣の改善も効果的
私自身の治療過程で感じた意外にも大きな効果を感じたことは、生活習慣の改善に取り組んだことです。
生活習慣が乱れてくると精神状態も安定しません。不安定な精神状態ではささいなことでも大きな不安に感じてしまいます。
睡眠不足や運動不足、偏った食生活をしていると、イライラしてしまったり物事を悪く考えてしまうことも増えてしまいます。
健康な状態の人でも生活習慣と精神状態は密接に結びついているので、社会不安障害の方には影響が大きく出てしまいます。
まずは、しっかりとした睡眠時間の確保とバランスの良い食事に適度な運動を取り入れて、不安やストレスを最小限に抑えることで治療がスムーズに行われ、回復へとつながっていく基盤を作っていくことが大切です。
~まとめ~
社会不安障害を、元々の性格だと思い込んでいて病気の症状であることを自覚していない人が多くいるようです。
病気だと自覚し、病気を知るだけでも心に変化を感じる人もいると思います。
私自身、「精神力が弱いだけだから気合いで頑張ろう」と気合い論で社会不安障害を克服しようと長年闘ってきました。
しかし、しっかりとした治療方法があることを知ってからはそれに沿った正しい治療を行うことができて、自力で何とかしようとしていた頃が何だったのかと思うほど早く回復への軌道にのっていきました。
悩んでいる人は、まずは病気であるということを認識し、正しい治療に取り組み1日でも早く気持ちを楽に社会に歩き出してほしいと思います。